ロゴの作り方「Fika. and. Fuuka」編

こんにちは。
アートディレクター・グラフィックデザイナーの安村シン(@shinworks_net)です。

先日、しげみつふうかさんが主催する、こどものほんを好きなひとのためのコミュニティ「Fika.and.Fuuka」のロゴをデザインさせて頂きました。

リリースされてから、コミュニティ内やTwitter上で大変好評を頂いています。

今回は、この「Fika.and.Fuuka」ロゴデザインの制作過程を
アイデアのつくり方から、コンセプトのつくり方までご紹介します。

 

Fika.and.Fuukaの背景

2018年10月からスタートしたFika.and.Fuukaには、
第1期として23名の絵本が好きな人、絵本がつくりたい人が集まっています。

私も、運営メンバーの一人として
デザインをしたり、企画についてあれこれ考えたりと活動しています。

2019年4月には、第2期メンバーの募集をすることを予定しており
外向きにも情報発信をしていくべく、ロゴの作成の依頼を頂きました。

 

はじめは「ヒアリング」

ロゴを制作するのに、まずはじめに大切にしていること。
それはデザインに必要な情報を集める「ヒアリング」です。

ここがおろそかになっていると、
デザインもぼやけたままで、雰囲気で作った弱いものになってしまいます。

今回は、まだ動き始める前の段階でご依頼を頂き、
団体の特長なども未確定で、探っている状態でした。

そこで、名前の由来に理念のようなものが込められている気がして、
ついて尋ねることに。

「Fika」の意味と、そのエピソードを知る

まず気になったのは、「Fika」という言葉です。

「Fika」はスウェーデン語で
「コーヒータイム」や「休憩」を意味するそうです。

安村シン
絵本のコミュニティなのに、
なぜ「Fika」という言葉を選んだんだろう?

この言葉を選んだ真意に、
団体の「特長」となりうる「思想」が詰まっているのでは?
と考えました。

そこで、しげみつふうかさんに、
名前について突っ込んで聞いてみました。

安村シン
コミュニティ名を「Fika.and.Fuuka」に決めた時の、
イメージや意図、想いなどお聞きしたいです!
質問してみたところ、
こんな素敵なエピソードを、聞かせて頂きました。
新卒で、出版社に就職仕立ての頃のことですが、
新人研修があって、倉庫へ行かされるんです。
本を縛って、取次へ出荷する作業で、
始めは、さぞつまんなかろうと思っていたんですが、

これが楽しくて。

私の他に、パートのおばちゃん二人と
元カメラマンさんだったおじいちゃん、おじちゃんの4人と作業していて、
3時には事務所でお茶を入れてみんなでお菓子を食べるっていう
お茶の時間が必ずあったのですね。

田舎では普通のことだと思うんですけれど、
これが大変楽しみでした。

結局、その新人研修を伸ばしてもらって
3週間ぐらい倉庫にいました(笑・・・)

研修が終わって本社に戻ってからも、
「そういうお茶の時間が、普通の会社員にあったならば、
みんな人生を豊かに生きられるのに
という想いがあったんです。

新卒の頃に、そんなエピソードが…!

そして、このお話が
「Fika.and.Fuuka」の名前の由来へと繋がります。

実は、出版社で「倉庫に配属」っていうのは、
いわば島流しの意味を持つんです。

カメラマンで現役から外れたり、出世争いに敗れると「倉庫行き」っていうのは
有名な話で、そんなイメージで行ったんですが、
そこにあったのは世間のイメージとは違って、落ち着いた豊かな世界だったんですよね。

だから、なんとなく、
世間的に言う幸せと、自分が感じる幸せには常にギャップがあって。

それで「Fika.and.Fuuka」なんでしょうね。

「世間的に言う幸せと、自分が感じる幸せには常にギャップがある」

お茶の時間が普通の会社員にあったならば、みんな人生を豊かに生きられる

この2つの言葉が、重要なキーワードだと感じました。

コミュニティを中心に「絵本」で繋がった人たちと話す時間が
「Fikaな時間」つまり、なんでもないような幸せな時間になる。

そういった「なんでもない時間」「幸せ」を表す言葉として
「Fika」が選ばれたのだ!ということが分かりました。

安村シン
そ、そういうことだったのか…!!!!

また、その2つのキーワードから、
絵本について改めて気が付いたことがあります。

「絵本を読み聞かせる時間」というのは、
大人にとっても、子供にとっても貴重な時間だということです。

一生のうち、子供が「子供」でいる時間は短いもので
親にとって、「読み聞かせ」ができる時間は
きっと、まさに矢の如く、一瞬で過ぎてしまうものでしょう。

だからきっと、絵本を通じて子供とコミュニケーションを取っている時間もまた、
なんでもないような幸せな時間なんだろうなぁ、ということ。

 

そして、この2つのキーワードを元に、
コンセプトを決める段階へと移ります。

コンセプトの決定

ここまでのヒアリングで、だいぶ方向性が見えてきたところで、
1週間ほど、考えを巡らせて熟成期間に入りました。

いつも頭の片隅でロゴについて考えながら
1週間たった週末のある日。
ふと何かが繋がりました。

Fikaはコーヒーを飲む時間
そしてなんでもないところに幸せがある
それを別の方法で形に表すとしたら、
幸せの青い鳥」がぴったりハマるんじゃないか。

安村シン

もし、コーヒーカップが青い鳥になっていたら、
まさにそれが「Fika.and.Fuuka」の象徴になるのでは。

そうして一瞬で全てが繋がって、ロゴのコンセプトと、およそのデザインが決まりました。

「コーヒーを飲んで人と話す、
なんでもないような時間の幸せ」

それを絵的に表すこと、となりました。
そのために「青い鳥」を引用したロゴを提案してみよう。

コンセプトをデザインに落とし込む

そこからは、早かったです。

出先から帰ってすぐ、
PCを開いて一気にデータを作りました。

やっぱり、コーヒーカップだけだったり
絵本を出してみたりするよりも、

「カップに青い鳥」の組み合わせが圧倒的に強い。

ふうかさんのストーリーに沿って生まれたキーワードから
発想したものだから、他の団体とも被らない。

もう、この方向しかない。

そうして、いちどこの段階でふうかさんへ提案します。

安村シン
ロゴ案です!

 

【コンセプト】
幸せって、じつは身近にある。
愛する人や友達、大好きな本やコーヒーがあれば、そこに気軽に存在している。
コーヒーカップを「幸せの青い鳥」に見立てることで、その考えを形にします。

絵本を作るということは、お話を伝えること。
だから、文字もお手紙を書くようなイメージの筆記体にしました。

 

そしてこの提案が、
「北欧の雰囲気」を気に入ってもらえて、

次なる段階、ブラッシュアップへと進みます。

 

ブラッシュアップへ

一気に作ったロゴですが、
じつは1点、気になっていたところがありました。

安村シン
ちょっと、「キャラクター感」が
強すぎるかもしれない・・・。

Fika.and.Fuukaは、「えほん」を作ったりする創作活動もします。
その時に、ロゴに「キャラクター感」が濃く出ていたら
生み出された絵本作品とケンカしてしまうのではないか。

また、ふうかさんから
「判読性も考えて、他の北欧風の書体」にしたものもみたい、とのオーダーも。

そこで、キャラクター感を抑えつつ、
判読性もアップしたロゴへとブラッシュアップすることになりました。

そのためには、「黒目をやめる」のが良さそうです。
また、縁取りしている輪郭線も、取っ払ってしまうことに。

 

安村シン
輪郭線、いらないかも。

 

書体について、「北欧風の書体」というものは
意外と、北欧生まれの書体を使うことではなくて
「シンプル」「王道」な書体を使うことだったりします。
そこで、

安村シン
シンプル&王道の、北欧風な書体なら…
Adobe Fontsの中でも特にシンプルで美しい
「Garamond Premier Pro」が最適だ!

 

もう、「Garamond」しかない!と即決しました。
通常の「Garamond」と、よりシャープな形を持つ「Garamond Premier Pro」の2種類で進行することにしました。

 

サブコピーから「自然」要素も取り入れる

ところで、Fika.and.Fuukaには、サブコピーがあります。
「Love ChildrenBooks & Nature.」というものです。

そう、Nature という通り、「自然」もまた一つのテーマなのです。
そのあたりを聞いてみたところ、
「人も自然の一部みたいなもの」だから、とのことでした。

 

安村シン
サブコピーから、
「自然」の要素も入れたいな。

 

自然の要素を入れられれば、より団体の理念を取り入れた
強力なロゴになると考えて、表現方法の検討を始めます。

検証して分かったのは、
自然だから、と木を描くのは
非常に説明的で、野暮ったいということ。

抽象度を上げていって、もういっそ丸だけでいいのでは?と思い始めました。

 

安村シン
「自然」の表現って、丸だけで十分では?
主張が強いと、主役とケンカしてしまうし。

 

また、「人も自然の一部みたいなもの」という言葉には、つまり
Natureの中に「人」も含まれるということなので、人も表したい。

人と、自然と、そして幸せな時間と。
全てを表すなら、色数は物の数だけあった方がいい。

ここまできて、
「意外に、線で描いたカップもアリ」な気がしてきました。

輪郭点として使うと、キャラクターになってしまうけど
線画があると「コーヒーカップ」を伝えやすい。

 

安村シン
輪郭線も、少し離せば全然いけるなぁ。
「コーヒーカップ」の形も見えやすい。

 

そうして再度提案したのが、こちらの2案。

元のデザインを踏襲してブラッシュアップした見た目のものと、
提案を含めたものと、2種類を用意しました。

そして決定へ

提案の末、「どちらもイメージに近づいてる」とコメントをいただき、
このまま最終調整へ向かうことになりました。

 

ロゴデータは、完成した後も
例えばウェブに使われたり、グッズに使われたり、いろいろな場面へと展開されます。
そのため、ロゴデータも柔軟に、使いやすい形を用意します。

例えば、Tシャツを作るとしたら、場合により使用できるインクの数が2色、3色など限定されたりします。
また、そもそも色を使った印刷ができずにモノクロとなる場合もあります

あらゆる場合を想定して、それぞれに最適化されたデータを
あらかじめ用意するのです。

WEBサイトのタイトルロゴなど、横長である方が良い場合もあります。
またスペースの狭い時などは、サブコピーを泣く泣く取って
団体名称の視認性を最優先する場合もあります。

横長ロゴに2パターンあるのは、そのためです。

 

最後に、遊びゴコロもアップ

そして最終ブラッシュアップ時、
ちょっとだけ遊び要素を足しました。

このブラッシュアップにあたり・・・
「いきもの」の気配が!

「こどもの本」が好きなひとのコミュニティです。
北欧風とはいえ、あまり文字がカッチリしすぎていては
どうもしっくりこない気がしていました。

そこで、2つのFの文字に
ロゴマークの鳥のような「いきもの」の気配を忍ばせました。

ちなみに、入稿ギリギリにイメージをプラスできたのは、
ふうかさんとの信頼関係があったからです。普段のクライアントワークであれば
元のものと、プラスしたもの2案を提案するか、
そもそも「話が複雑になる」という理由で控えます。今回は、仕事としてのスマートさや、スムーズさを超えて
「どちらのほうがよいロゴになるか?」を最優先して提案しました。

そして完成!

その工程を経て、完成したのがこちらのロゴです!

作り手としても、とても気に入っていて
アニメーションまでつけてしまいました。

Twitter上にロゴを投稿したところ
「かわいい!」「これ好き!」など多くの反響を頂いていて、
「ロゴデザイン」だけでも広報の役割を果たし始めています。

またFika.and.Fuukaの公式noteでは、
ロゴの青い鳥から生み出されたキャラクター
「フィーコちゃん」が主役となった、
かもゆうこさんによる「フィーコちゃんのおはなし」も連載中です!

作・画  かもゆうこさんによる連載。絵もお話も、めちゃかわいい。(フィーコちゃんのおはなし Vol.2より)

 

しげみつふうかさんの、コミュニティに対する深い想いと
キッカケとなったストーリーを話して下さったおかげで、
とてもよいロゴに仕上げることができました。

ふうかさん、ありがとうございます!

 

あとがき

以上、ロゴの作り方「Fika. and. Fuuka」編でした。

いかがでしたか?

今回の記事を見て、ロゴデザインを依頼したい!という方は
ぜひお問い合わせページからご連絡ください。
お待ちしております!

(最後までお読みいただき、ありがとうございました!)

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